尼崎の創業支援税理士が教える！「１本釣りで狙うのか？それとも網で狙うのか？」

こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。

漁の世界では、狙う魚の種類によって大きく２つの方法が使い分けられているようです。

１つは漁師１人ひとりが釣竿を使って釣り上げる、「１本釣り」と呼ばれる方法。

１本釣りで狙う魚は、カツオやマグロなどの中型、大型魚が対象になります。

もう１つは、「巻き網漁」、「底引き網漁」など、大きな網を使って、いろんな種類の魚を一気に獲ってしまう方法です。

このように網を使う場合は、アジやイワシなど小型の魚が対象です。

網を使うと魚の体に傷がつきやすいので、同じ魚でも１本釣りで獲ったほうが、高い値段で取引される。

だから、1本釣りでは、単価が高いカツオやマグロを狙うのです。

しかし、この1本釣りはたくさんの魚を獲るのに、時間がかかりすぎるというデメリットがあります。

そこで、単価が安いアジやイワシは、網で狙うというわけです。

ビジネスの世界でも、これと同じように、ターゲットによって、その販売手法を使い分けなければいけません。

例えば、インスタントラーメン、清涼飲料水、シャンプーなど低額の消費財を、あらゆる消費者に販売するような場合には網で狙うべきです。

それでは、網で狙う戦略とはどういうことでしょうか？

これはマーケティングの世界で言う「流通チャネル」を構築するということです。

詳しい解説は他の専門書籍に譲りますが、簡単に言うと、より多くの場所でその商品を買えるような仕組みを作ることです。

一般の消費財では、この網をたくさん仕掛ければ、それだけ売上が上がるということになります。

ここで缶ジュースのケースを考えてみましょう。

コーラの国内シェア№１ブランドは、もちろん「コカ・コーラ」です。

では、「缶コーヒー」の国内シェア№１ブランドは何でしょうか？

実は、「ジョージア」です。

世界発のミルク入り缶コーヒー「ＵＣＣ」でもなく、コーヒーで世界的に有名なネスカフェでもない。

日本コカ・コーラ社の「ジョージア」なのです。

では、なぜ「ジョージア」がシェア№１になるのでしょうか？

価格が安いわけでも、味が特別良いというわけでもありません。

理由は、自動販売機の数が圧倒的に多いからです。

日本コカ・コーラ社は、どこでもすぐに買えるように、全国に網を仕掛けています。

これによりコーラだけでなく、缶コーヒーでも№１シェアとなっているのです。

何もコカ･コーラのように全国に自動販売機を構築しろ、と言いたいわけではありません。

起業家に押さえておいてほしいポイントは、低額商品を効率よく販売するには、網の仕掛け方が重要だということです。

一方で、住宅や高級車など高額な商品を、自動販売機で買ってもらうわけにはなかなかいきません。

インターネットで簡単決済というような網を仕掛ければ、中古車なら売れるかも知れませんが、住宅や高級車はまず売れないのではないでしょうか。

高額商品になればなるほど、お客様は意思決定に慎重になり、対面販売を必要とするからです。

黒字起業家は、お客様を網で狙うべきか、それとも一本釣りで狙うべきかを常に考えています。

赤字起業家は、そのお客様は網で狙うべきか、一本釣りで狙うべきか、そんなことを考えることがありません。

だから、残念なことに、かけた労力のわりに売上が上がらないのです。

あなたのお客様は、一本釣りで狙うべきか、それとも網で狙うべきか、じっくり考えてみて下さいね。

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