(元メガバンク出身)創業融資専門家が教える!飲食業の創業失敗事例2020.10.20
こんにちは、(元メガバンク出身)創業融資専門家の宮谷祐史です。
今回は飲食業で創業した人のなかで、失敗事例を紹介します。 失敗したとき、原因や理由はいくつも見つかるものです。これは成功事例では逆で、成功する理由はなかなか見つかりにくく、だからこその成功といえるでしょう。
この失敗事例も、創業時の事業計画で重視される3つのポイントと照らし合わせながら説明していくことにします。 ご自身に当てはまるところはないか?(あっては困りますが)、失敗を他山の石とせず、ぜひ参考にしてください。 |
■飲食業の創業失敗事例
「居酒屋を切り盛りするまで経験を積み、居酒屋メニューのビュッフェスタイルを売りに創業したが、目線が時流に合わず、また落ち着きもなかったので失敗した」という例です。
失敗の原因となった3つのポイント
失敗の原因はいくつもあげられますが、要因分析のために、事業計画書で重視される「こうあるべき」3つのポイントに照らし合わせながら説明していきます。
<失敗の原因となった3つのポイント>
- 根拠のない自身と時流に合わなかった目線~「特異性、差別化」
- 「値段ありき」で考えた設備は結局ムダに~「設備投資の妥当性」
- 起死回生策を、何度も落ち着きなく乱発~「資金繰りの現実性」
ポイント1.根拠のない自身と時流に合わなかった目線~「特異性、差別化」
この方は、創業の事業計画を自分で作り持ってきました。
パソコンを駆使したきれいな色刷りでしたが、
「きれいな反面、中身の薄っぺらさがかえって目立った」(銀行員談)内容だったそうです。
まず目に付いたのがいわゆる「コンセプト」
居酒屋で評判になっていたメニューを、ビュッフェスタイルで提供する店舗で、ターゲットは「ランチタイムを優雅に過ごす奥様」だったそうです。
ロードサイドに貸店舗を見つけ、改装して店を作る計画でした。
店構えや内装もターゲットに合わせたおしゃれな作りでしたが、設備面で問題が噴出し(後述)、それ以前に大きな問題があり、うまくいきませんでした。
大きな問題とは「目線」です。
「奥様達がランチ」ここまでは良かったのですが、提供したのはは夜におじさん達が口にする居酒屋メニューでした。多少のマイナーチェンジはあっても、奥様達には受入れてもらえなかったようです。
メニューとターゲットの「違和感」について周りからの意見はあったにもかかわらず、この人は「大丈夫です 必ずうまくいきます!」と自信だけは妙にあったそうです。
ポイント2.「値段ありき」で考えた設備は結局ムダに~「設備投資の妥当性」
店構えや内装にはこだわり、ターゲット向けになっていましたが、この人は設備を「値段ありき」で考える人でした。複数に相見積もりさせて、少しでもやすい業者に頼み、食器類も値段を優先に選びました。
その結果、表面的にはキレイでも施工不良や設備の不具合が噴出しました。
また、そもそも店舗立地も「値段ありき」と銀行員は危惧し、危惧したとおりの結果になってしまいました。
店は貸店舗だったのですが、それまでにもいろいろな店がオープンし、撤退して、を繰り返していた場所でした。俗に「何をやってもダメな場所」というのはあり、ここがまさに「それ」でした。
当時の銀行員は内心「やめたほうがいいのになあ」と思いながらも、顧客の意向なので声高には反対しませんでした。
何をやってもダメな場所で家賃も安かったが、やっぱり何をやってもダメな場所だった
値段ありきで場所選びをしてはいけない、ということですね。
ポイント3.起死回生策を、何度も落ち着きなく乱発~「資金繰りの現実性」
事業がうまくいかず軌道修正するのは良くあることです。ただしそれにも限度があります。
この経営者は、当初目論んでいた「居酒屋メニューのビュッフエ」がうまくいかないとみるや、
- 昼の営業をやめて、居酒屋メニューを出す居酒屋(居酒屋にもどる)へ
- それもダメで「〇〇系」に寄せたラーメン店
- それもダメで「コインランドリー」
最後は飲食業ですらなく、ここまでくると「迷走」です。
これら「迷走」は、すべて資金繰りのためにしたことです。
お金が必要なので、目先のアイデアを次から次に繰り出し、失敗を繰り返し、最後は資金繰りにも事業にも行き詰まってしまいました。
まとめ
失敗事例をもとに、自らが同じ過ちを繰り返さないように
飲食店の創業時の3つのポイントは押さえておきましょう。
後日談ですが、
この時、銀行員は審査の段階で「やめたほうが良いのになあ」と感じ、しかし声高に止めなかったことが、今でも心にトゲとして刺さっているそうです。
また「銀行員では(自責の念も込め)限界があるので、やはり税理士や会計士など信頼できるプロに相談するのが賢明。そしてプロでも、ときには耳の痛いような苦言、提言をしてくれるようなプロを探して欲しい」とも感じているとのことでした。
いかがでしたか。
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