尼崎の創業支援税理士が教える!「NPO法人での起業のメリット、デメリット」2016.07.12
こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。 最近、幣事務所にも「NPO法人で起業したい」と相談に来られる方も増えてきました。 NPOとは、Non-Profit Organizationの略称で、日本では「特定非営利活動法人」というのが正式名称です。 今回はこの「NPO法人」について解説します。 |
押さえておきたいポイント 1
NPO法人のメリット ⇒ 設立費用がほとんどかからない
NPO法人は、下記に記載する20分野の活動を行う場合に、設立できる組織であり、大きなメリットとしては、設立費用がほとんどかからないといった点があげられます。
NPO法人の活動として認められる20分野 | |
1 | 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
2 | 社会教育の推進を図る活動 |
3 | まちづくりの推進を図る活動 |
4 | 観光の振興を図る活動 |
5 | 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動 |
6 | 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 |
7 | 環境の保全を図る活動 |
8 | 災害救援活動 |
9 | 地域安全活動 |
10 | 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 |
11 | 国際協力の活動 |
12 | 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 |
13 | 子どもの健全育成を図る活動 |
14 | 情報化社会の発展を図る活動 |
15 | 科学技術の振興を図る活動 |
16 | 経済活動の活性化を図る活動 |
17 | 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 |
18 | 消費者の保護を図る活動 |
19 | 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 |
20 | 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 |
以前の記事で、株式会社の設立には24万円、合同会社の設立には10万円が最低限必要となることを解説しましたが、NPO法人の場合、収入印紙代や登録免許税などの費用が一切かかりません。
「会社を設立するなら株式会社?それとも合同会社?」の記事はこちら
また、NPO法人が税法上で定められている収益事業を行わない場合には、税金が減免されるという特典まであります。
押さえておきたいポイント 2
「NPO法人=完全ボランティア」ではない
非営利活動という言葉を聞いて、このNPO法人を何でもかんでも無報酬で行う、完全ボランティア団体と解釈している方も多いようですが、ここでいう「非営利」とは、利益を出さない(出してはいけない)ということではありません。
NPO法人では広く正会員や賛助会員を募集し、会費を受け入れることで運営していくわけですが、このNPO法人に残った利益を従業員や正会員に分配ができないということなのです。
だから、もちろん、NPO法人で働く従業員に対して労働に見合った給料を支払うこともできますし、賞与を支払うこともできます。
しかし、「今年はたくさん儲かったから、みんなに還元してあげよう!」と、特別賞与を出したり、出資してくれた方に配当を支払ったりすることはできないのです。
従って、自分たちの儲けや利益のために起業するのではなく、みんなが幸せに暮らせる世の中をつくるために起業する、という志の高い方にはオススメの組織形態です。
押さえておきたいポイント 3
NPO法人のデメリット ⇒ 10名以上の会員を集める必要がある
NPO法人の設立要件の1つに「10名以上の会員」が必要とあります。
そのために、広く会員を募集するわけですが、この会員は株式会社でいうところの株主です。
NPO法人を作った場合には、単に税務署に申告書を提出するだけでなく、この会員たちに経営状況をきちんと報告しなければなりません。
つまり、ガラス張りの経営にしなければならないので、事務手続きが煩雑になるというデメリットがあります。
さらに、怖いのはこの会員たちがNPO法人の理事・監事(役員)を選任するという点です。
もし、このNPO法人を自分たちのために利用しようと考えるような会員が多数集まってしまった場合、あなたはこの法人から追い出されてしまい、簡単に乗っ取られてしまうというリスクがあるのです。
だから、会員が自分の利益を虎視眈々と狙うような人たちばかりにならないように注意する必要があります。
NPO法人での起業を検討される方は、上記のポイントをしっかり押さえて下さいね。
もちろん、私どもでもNPO法人での起業については、しっかりとアドバイスさせて頂きます。
初回無料相談ですので、尼崎、西宮、伊丹、宝塚、大阪市西淀川区などの阪神間の起業家の方は、お気軽にご相談下さいませ。
起業成功のノウハウが詰まった拙著『起業するならもっと数字で考えなきゃ!』、よろしければ読んで下さいませ。