尼崎の創業支援税理士が教える!「得意先に生殺与奪権を与えるな!」2019.08.27
こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。 突然ですが、売上依存度という言葉をご存知でしょうか? これは、会社全体の売上のうち、ある特定の取引先の売上がどれくらいの割合を占めているかを表したものです。
例えば、会社全体の売上が1億円だったとします。 この時、最大の得意先A社の売上が6千万円だったとすると、A社への売上依存度は 6千万円 ÷ 1億円 = 60% ということになります。 |
話は少し変わりますが、上場会社などが投資家に対して開示しなければならない情報に、「事業の概況等に関する特別記載事項」というものがあります。
何やら難しい言葉ですが、一般的には「リスク情報」と呼ばれており、内容は“投資家の投資判断に重要な影響を与える可能性がある事項”です。
これには10の項目が列挙されており、いずれかに該当する場合は、その旨を開示しなければならないというルールになっていますが、そのうちの1つに、次の項目があります。
特定の取引先等への依存度が高い場合で、その取引の継続性が不安定なこと
実は上場会社においては、売上依存度の高い取引先があるということは、その会社にとってのリスクだと考えられているのです。
古い話で恐縮ですが、私が監査法人に勤務し、主に上場会社の会計監査を担当していた2001年頃、長崎屋、そごう、マイカル、壽屋と流通の大手企業4社が次々に倒産していきました。
しかし、この4社が倒産しただけで話は終わりません。
この大手4社が倒産したことにより、「連鎖倒産」してしまった会社が、実に192社もあったのです。
「連鎖倒産」してしまった会社の共通点は何でしょうか?
それは、この流通の大手4社に、ほとんどの売上を依存していたことです。
弊社顧問先のある社長は、売上が2億4000万円の時に大手企業からの下請けである売上2億円、実に全売上の8割以上を捨てる決断をしました。
どうして、そのような決断ができたのかを聞くと、このように教えていただきました。
「得意先に生殺与奪権を与えたら、アカンやろ」
生殺与奪権とは、生かすも殺すも、与えることも奪うことも、すべてその人の思うままになること。
つまり絶対的な権利のことです。
この権利を相手に与えてしまうことは、今後の会社にとって大きなリスクとなると考えたそうです。
その後、この社長は営業マンの育成を進めて、強固な営業組織を作り上げ、今や年商100億円超の会社に育て上げています。
社長専門コンサルタントとして活躍された一倉定氏も、次のようなことを言っています。
「最大の得意先でも、売上の30%以上を依存しないこと」(「一倉定の経営心得」日本経営合理化協会)
この言葉が意味するのも、相手に生殺与奪権を与えるなということです。
特定の取引先への売上依存度が高いのは危険です。
得意先に生殺与奪権を与えないために、他の取引先からの売上も増やすような営業努力を続けていって下さいね。
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