尼崎の創業支援税理士が教える!「書面に残すことの重要性」 2017.10.31
こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。 数年前の話ですが、起業したてのA社社長からこんな相談を受けたことがありました。 A社は製造業で、B社からある製品を急ぎで欲しいと注文を受けたとのこと。 その製品の単価は1万円、数量は100個の注文。 A社はその製品の在庫を抱えておらず、急ぎで欲しいとの依頼だったので、夜通し製造に取りかかり、1週間で納品の目途を立てた。 |
しかし、出荷の連絡をB社にしたところ、その注文をキャンセルされたとのこと。
社長としては、この製品の代金を請求するのにどうすべきか、というのが相談でした。
私 | この内容でしたら弁護士の先生に相談される方がいいですね。よかったら、弁護士の先生をご紹介しますよ。 |
社長 | ぜひ、お願いします。この製品、B社用の特別仕様で作ったので、他社に売ることも難しいんです。B社に払ってもらわないと、大赤字になってしまいます。 |
私 | お気持ちはよくわかります。ところで、B社からの注文書ってありますか? |
社長 | 注文書は特にありません。B社からは電話で注文を受けたので。 |
私 | メールとか、FAXなどはありませんか? |
社長 | いや、ないですね。でも、B社は確かに「急ぎで100個注文」って言ったんです。 |
私 | B社はどのように言ってるんですか? |
社長 | それが、「注文するとは言ってない」って言うんです。「急ぎで100個欲しいねんけど、納期はいつ頃になるか教えてくれって言ったんや」と。でも、電話に出たウチの担当者は、B社は確かに「急ぎで100個注文」って言ったと。。。 |
社長の話を聞きながら、私にも同じような経験があったことを思い出しました。
ある方から、開業してすでに数年経過しているが、ずっと税金の申告をしていないので、過去の税金の申告書作成をお願いしたいと依頼を受けました。
その際、私は電話で「1年分で15万円となります」と見積もりを伝え、依頼者からOKをもらったので、計5年分の申告書を作成し、75万円の請求をしました。
ところが依頼者は、「5年分で15万円って言った」と主張して譲らない。
「いや、そんなことは言ってません」などと“水掛け論”を繰り返していたのだが、そのことをある社長に話したところ、こんなことを言われました。
「言うた言わんの水遊びにならんように、何でも書面に残しとかな」
確かにその通りなのです。
仮に相手と法的に争っても、その契約が成立しているかどうかは、その証拠に基づいて判断されることになります。
電話で注文を受けた、あるいは説明したと言っても、その時の電話が録音でもされていない限り、残念ながら、その主張は通らないでしょう。
あってはならないこととはいえ、ビジネスでは取引先とのトラブルはつきものです。
そんな時に自社の利益を守るためには、やはり何でも書面に残しておく習慣づけでしょう。
少し古いデータですが、上図は企業間の取引において、「変更されたことがあるもの」と「変更されると困るもの」の調査結果です。
これによると、中小企業は「受注単価」、「受注数量」、「納入期日」を変更されると特に困ると感じるようですが、これらは実は頻繁に変更されているものでもあります。
取引条件を書面化すると、このような受注内容の変更リスクを大幅に下げることにつながるはずです。
ぜひ、何でも書面に残す習慣づけを徹底してください。
幣事務所では、上記のような「起業成功のノウハウ」をしっかり身につけるための「会員制勉強会」を開催するなど、税務や会計面だけでなく、黒字化サポートにも力をいれております。
初回無料相談ですので、尼崎、西宮、伊丹、宝塚、大阪市西淀川区などの阪神間の起業家の方は、お気軽にご相談下さいませ。
起業成功のノウハウが詰まった拙著『起業するならもっと数字で考えなきゃ!』、よろしければ読んで下さいませ。
![]() | ![]() | ![]() |