銀行は決算書のどこをみているか 2026.3.3
こんにちは、税理士の定本です。 銀行は決算書のどこをみているか!?注目すべきポイントを解説します! |
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銀行から融資を受ける際には「決算書の中身が重要だ」と当たり前のように言われます。しかし、どの内容が融資にとって重要なのかあまり知られていません。
銀行の融資審査担当者はさまざまな決算書の記載事項すべてを俯瞰しますが、その中でも特に重視するポイントがあります。
今回はそのチェックポイントについて説明します。
銀行がみる決算書とは?
融資にあたり銀行がチェックする決算書はご存知の通り「貸借対照表」と「損益計算書」です。それに加えて、「株主資本等変動計算書」、「個別注記表」「キャッシュ・フロー計算書」「税務申告書類一式」などの提出も求められます。
最低2期分それぞれ必要で、開業2期(2年)以内の場合、1期分+「試算表」で大丈夫な場合と、2期に満たない場合は「創業融資」のカテゴリで審査する場合など金融機関によって若干の差があります。当然、税務署の受領印(電子申告の受領メール)が必須です。
以下では特に貸借対照表と損益計算書のチェックポイントを解説します。銀行はここを見ます。
銀行が融資に当たってチェックする貸借対照表の項目
銀行が貸借対照表(B/S)を確認する最大の目的は、「この会社は将来にわたって返済能力があるか」を判断するためです。
損益計算書が「フロー(一定期間の成績)」を示すのに対し、貸借対照表は「ストック(現在の財務体質)」を表します。
銀行は、融資後も安定して事業を継続できるか、倒産リスクは高くないかをB/Sから読み取っています。特に銀行が貸借対照表でチェックするのは以下の項目です。
●自己資本比率
銀行がまず確認するのが自己資本比率です。自己資本比率は「総資産に対して、どれだけ自己資金で賄っているか」を示す指標で、比率が高いほど財務の安定性が高いと評価されます。
自己資本比率が低いと借入依存度が高く、返済リスクが大きく、逆に自己資本比率が高い
と財務基盤が強く、融資審査において加点要素になります。
●利益剰余金の蓄積状況
利益剰余金は、これまでの経営努力の結果が蓄積された項目です。毎期黒字を積み重ねている会社は、銀行から「安定した経営をしている」と評価されます。
反対に、赤字が続き利益剰余金がマイナス(繰越欠損金)になっている場合は、融資審査が厳しくなる可能性があります。
●現金・預金の残高
現金・預金は、返済原資となる重要な項目です。銀行は「月商に対して現預金がどれくらいあるか」を見て、資金繰りの余裕を判断します。
現預金が極端に少ないと何かあったときの突発的な支出に耐えられないので融資審査で減点となります。
適度な現預金があると安定した資金管理ができているのでプラス評価になります。
●売掛金の回収状況
売掛金が多すぎる場合、回収が滞っていないかがチェックされます。売掛金が不良債権化しているとマイナス査定になります。
売掛金回収サイトが長期化していると、実際には資金が手元にない状態と判断され、評価が下がることがあります。
また、特定の取引先に売掛金が集中していないかも重要なポイントです。回収不能リスクは分散している方が望ましいのです。
●在庫
小売業や製造業の場合在庫は資産である一方、過剰在庫はリスクと見なされます。長期間動いていない在庫、質的に換金性の低い在庫これらが多い場合、帳簿上は資産でも実態価値が低い「不良在庫」判断されることがあります。
●借入金を問題なく返済できるか(債務償還年数)
銀行は借入金の総額だけでなく、返済期限のバランスを確認します。もちろん借入金が少ない(ない)方が融資ではプラスになります。
企業が現在の収益力をもとに、どの程度の期間で借入金を返済できる体力があるかを判断する際に用いられるのが「債務償還年数」という考え方です。
この数値に余裕がある場合、金融機関からは「借入余力が残っている」と評価されやすく、追加の融資についても前向きに検討される可能性が高まります。
なお、債務償還年数はあくまで返済能力を測るための目安となる指標であり、実際に借入金を返し終えるまでの年数を示すものではありません。
債務償還年数の算出方法
借入金残高 ÷(経常利益 + 減価償却費 − 法人税等)
一般的には業種や事業内容によって差はあるものの、おおむね10年以内であれば、健全な水準と判断されるケースが多く見られます。
●既存借入の返済状況
延滞やリスケジュールの信用情報履歴がないかも重要です。返済実績が良好であれば、「約束を守る企業」として評価され、追加融資につながりやすくなります。
言うまでもなく、銀行には信用情報照会を行う権限があるので、過去の返済事故はバレてしまいます。
銀行が融資に当たってチェックする損益計算書の項目
貸借対照表が「会社の体力」を示す資料であるのに対し、損益計算書(P/L)は「稼ぐ力と返済原資の継続性」を判断するために確認されます。
銀行は、単年度の利益だけでなく、収益構造が安定しているか、将来も利益を生み出せるかという視点で損益計算書を読み取っています。
●売上(売上高、経常利益)を生み出せているか
最初に確認されるのは、本業の事業活動を通じて利益が確保できているかどうかです。
単に黒字か赤字かを見るのではなく、一定期間の中でどれだけ資金を創出できたかという点が重視されます。
キャッシュ・フロー計算書を提出していれば資金の動きは明確になりますが、損益計算書のみであっても、おおよその資金状況を読み取ることは可能です。
銀行は、融資の返済に充てられる原資が、事業(本業)によって継続的に生み出されているかを慎重に確認しています。
●売上高利益率
企業の収益力を測る指標の一つが売上高利益率です。これは、売上金額に対してどの程度の利益を確保できたかを示すもので、前期と比較することで、収益構造が改善しているかどうかを判断できます。
利益率が上昇していれば、効率的で優れた経営ができていると評価されやすく、反対に低下している場合は、その要因について確認されることになります。
●減価償却費
減価償却とは、建物や設備などの固定資産を取得した際に、その価値を耐用年数に応じて分割して費用化する会計処理です。
税務上、減価償却は必ずしも満額計上が義務付けられているわけではなく、計上額を調整する(一部任意)ことも可能です。
そのため、短期的に利益を大きく見せる目的で、あえて減価償却費を抑えるケースも見られます。
銀行では、実態に即した利益水準を把握するため、減価償却が妥当な水準で計上されているかについても確認が行われます。
貸借対照表と損益計算書をもう一度見直して融資を受けやすいか判断しよう
融資を受けるに当たって、銀行の審査は、決算書(貸借対照表と損益計算書)を中心に行われます。
本当に融資した額を確実に返済できるのか、返済資力について厳格な審査が行われます。決算書の数字は偽れませんので、返せるだけの儲けがあるのか、しっかりみなさんがチェックしてご判断ください。
貸借対照表と損益計算書をもう一度見直して融資を受けやすいか判断していただき、少しでも融資審査に通るように努めてください。
いかがでしたか。
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