尼崎の創業支援税理士が教える!「その外注って「偽装扱い」にされませんか?」2016.04.08
こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。 前回は、人を雇う場合のコストについて解説しました。
起業当初は、どうしても人を雇うことで固定的なコストを抱えることをためらう人も少なくありません。 そこで、自分の事業に協力してくれる方を、社員として迎え入れるのではなく、外注として協力してもらっているケースをよく見かけます。 では、社員として給与を支払う場合と、外注先として外注費を支払う場合とで、どのような違いがあるのでしょうか? |
まず、前回の記事で説明した社会保険料ですが、これは給与の場合にはかかりますが、外注費の場合にはかかりません。また、給与に消費税はかかりませんが、外注費に対しては消費税がかかるので、課税仕入取引として取り扱われることになります。
これについては、少し数字を使って説明してみましょう。
あなたが起業して数年後に、消費税の課税事業者となったとします。
ここで、事業に協力してくれている方に毎月50万円、年間600万円の外注費を支払っていたとします。
この場合、あなたが預かっていることになっている売上にかかる消費税から、次の金額を控除して納めればよいことになります。
600万円×8÷108=約44万円 (消費税を8%とした場合)
これに加えて、この事業協力者に社会保険料の負担をする必要もありません。
前回の記事で、人を雇うと社会保険料と労働保険料で給与の約15%の負担があると解説しましたが、この場合は約90万円(=600万円×15%)だけ給与より負担が軽くなる、ということになります。
つまり、月50万円払うような協力者がいる場合、給与ではなく外注費とすることで、年間で約134万円(約44万円+約90万円)もコスト負担が軽くなるという訳です。
これだけの違いがあると、多くの方が「それなら外注費にしよう」と考えるかもしれませんが、「給与」にするか「外注費」にするかは、あなたが勝手に決めていいという訳ではありません。
契約内容や勤務実態などの客観的な事実関係を踏まえて、判定されるものなのです。
実はこれまでに対応した相談事例で、「その外注って、偽装扱いにされませんか?」と疑問を持ったことが多々あります。
そこで、まずは給与と外注費の定義から見てみましょう。
「給与」・・・雇用契約に基づいて受ける役務の提供の対価
「外注費」・・・請負契約に基づいて受ける役務の提供の対価
ですので、そもそもの大前提として、請負契約がなければ外注費とはならないのです。
では、請負契約があれば必ず外注費になるのかというとそうでもありません。
実態がどうなのかという点でも判断されるのですが、具体的には下記のポイントで判断されます。
押さえておきたいポイント1
他人が代替して業務を遂行すること、又は役務を提供することが認められるかどうか
→当人にしかできない業務で、当人が拘束されていれば、実質従業員であり給与となります
押さえておきたいポイント2
報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束を受けるかどうか
→外注なら成果物に対して報酬が支払われますが、労働時間に対しての報酬は給与となります
押さえておきたいポイント3
作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督を受けるかどうか
→自己の責任で裁量をもって仕事をするなら外注費となりますが、指示された作業をするなら給与となります
押さえておきたいポイント4
まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等において、当該個人が既に提供した役務に係る報酬の請求をすることができるかどうか
→請求できないのであれば外注費となりますが、労働時間を基準として支払うのであれば給与となります
押さえておきたいポイント5
材料又は用具等を報酬の支払者から供与されているかどうか
→経費を自己負担していれば外注費、材料や用具の用意を会社負担でしていれば給与
基本的には、上記のようなポイントに従って判断されますので注意が必要です。
「給与」か「外注費」かは、税務上もよく論点になるところですので、一度、専門家に相談をされてみることをオススメします。もちろん、私どもでも「給与」と「外注費」については、しっかりとアドバイスさせて頂きます。
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