融資審査において金融機関がみるポイント(前編)

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融資審査において金融機関がみるポイント(前編) 2025.9.16

こんにちは、税理士の定本です。

融資審査は「厳しい」というイメージがあります。融資を受けると負債になるので、金融機関も慎重な判断をせざるを得ない事情があります。

 

融資は資金調達方法における「デットファイナンス」に該当するものであり、さまざまな観点から厳格な審査を行います。

 

今回はその「前編」として、会社の「通知表」として知られる「貸借対照表」の審査ポイントについて解説します。

 

金融機関がチェックする貸借対照表のポイントは?

貸借対照表(バランスシート)とは、企業のある一定時点における、資産・負債・純資産の状態を表した書類です。この貸借対照表を読み解くことで、企業の財政状況を知ることができます。負債が多ければ、返済義務のある借入が多いことになり、新しい融資を実行してもその返済原資がどこから調達するのかという問題があります。

 

そのため貸借対照表をチェックして、特に負債が大きい場合は返済資力がないと判断し、融資の審査で大幅マイナスになってしまいます。

 

では貸借対照表の内容について、金融機関のチェックポイントを資産、負債、純資産(資本)に分けて解説していきます。

 

●金融機関がチェックする貸借対照表「資産」の部

 

資産項目を審査する際は、「本当にその価値があるのか」という実質面が重視されます。帳簿上は資産として計上されていても、内容によっては評価の対象外になることがあります。以下に代表的な注意点を挙げます。

 

・帳簿上にあるはずの現金が存在しない

仕訳漏れや不明な支出のために、実際の現金残高が帳簿と合っていないケースは少なくありません。

 

・回収困難な(不良債権化している)売掛金がある

回収見込みがないと判断される債権は、資産価値を持たないものと見なされます。もはや試算ではなく不良債権化した「負債」です。

 

・長期間動きのない在庫

販売が見込めない不良在庫も、不良在庫であり、資産性が低いと判断されがちです。

 

・家族、親族への貸付

契約書が存在しない、返済期限が不明など、回収可能性に疑問がある場合は資産とは認められにくくなります。身内でもお金については他人なので、借用証書や適切な金利設定が必要になります。

 

・減価償却が不十分な固定資産

建物や設備、車両などは、適正に減価償却されているかが確認されます。償却不足があると、本来の価値より過大に見積もられていると判断されます。本来100万円の価値しかないものが500万円で貸借対照表に計上されていてはまずいのです。

 

・土地の価格が大幅に下落している場合

不動産のうち、時価が帳簿価格を大きく下回っているものは、実勢価格で評価し直されます。

 

・ゴルフ会員権などの有価証券

実態に即した査定が行われるため、名目的な価値で評価されるわけではありません。バブル期に購入した金額そのままでは過大評価になってしまいます。

 

・繰延資産の性質

創業時の費用や開発費など、一時的に資産に計上されることの多い項目も、金額が大きい場合は実体価値が疑問視されることがあります。いつまで経っても繰延資産として計上していると審査で疑問符がついてしまいます。

 

このように、形式的な数値ではなく、「資産として実際に価値があるかどうか」が融資における資産の判断基準になります。

 

●金融機関がチェックする貸借対照表「負債」の部

 

負債については、単なる金額の大きさではなく、その性質や実態が問われます。

 

・支払手形の内容

支払期日を延ばすために新たに発行したジャンプ手形が含まれていないか、資金繰りの状況を把握するうえで重要な確認ポイントです。

 

・税金や保険料の滞納

公的支払いの滞納があると、経営管理に問題があると判断されかねません。納税は国民の義務であり、納税できない事業者に融資はできません。

納税の証憑(納税証明書や領収証)の提示を求められるケースもあります。

 

・役員からの借入

役員からの借入金は、実質的には返済義務がないと見なされ、純資産の一部として見られるため、融資判断においては特段問題が無いと考えられます。

 

・過剰な借入金

借入金については、取引先、金額、返済条件などがチェックされ、返済能力の観点から評価されます。当然借入金が多いと返済資力に問題ありとされ、審査が厳しくなります。

 

・借入金融機関はどこか

銀行や信金からの借入なら良いのですが、消費者金融(ノンバンク)からの借入があると、当然マイナス評価になります。他から借りられないから消費者金融に手を出した、そのような経営者にはお金を貸せない、となります。

 

黙っていても信用情報照会でバレてしまいます。

このように負債も金額ではなく、「どのような性質の負債なのか」という点で判断されます。

 

●金融機関がチェックする貸借対照表「純資産」の部

 

資産と負債の評価を終えると、最後に純資産(資本)を審査します。この純資産の数字こそが、実態に近い財務体質を示します。

 

しかし、純資産の審査を経ることで、帳簿上の純資産よりも実際の純資産が小さな金額になることが多く見受けられます。

 

さらに悪いケースでは、帳簿上ではプラスなのに、評価後にはマイナス、すなわち債務超過に転じることもあります。

 

債務超過とは、負債総額が資産を上回ってしまった状態を指します。借入が資産を食っている状態であり、金融機関からは返済能力に大きな不安があると見なされるため、資金調達が難航することになります。

 

つまり、表面上の貸借対照表ではなく、実態に即した純資産が重要視されるのです。この評価でマイナスになるようなら、財務改善の必要性が強く意識されることになります。

 

 

貸借対照表は企業の「通知表」なのでしっかり精査しよう

貸借対照表は、企業の財務状況を示す「通知表」とも言える重要な資料です。資産・負債・純資産のバランスを見ることで、経営の健全性や資金繰りの実態が明らかになります。

 

融資において貸借対照表を重視するのは当然であり、その数字もスタッフによって歳差されます。

 

貸借対照表に実際には価値を持たない資産や返済の見込みがない貸付金などが含まれている可能性もあるため、厳しいチェックで審査NGにならないよう事前に見直しをお願いします。

 

いかがでしたか。

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