尼崎の創業支援税理士が教える!
「「融資」ではなく「出資」を受けるには、どうすべきか?」 2016.06.21
こんにちは、創業支援税理士の香川晋平です。 ここ最近の記事では、創業融資について解説してきました。
しかし、資金調達の方法としては、ベンチャーキャピタルや個人の投資家に「出資をしてもらう」という方法もあります。 これまで説明してきた「借入」は、借りた元金に金利を乗せて、徐々に返済しいていくというもの。 |
一方、「出資をしてもらう」とは、自社の株式を新たに発行、買い取ってもらうことで資金を調達するもの。
借り入れとは違って、基本的に会社は出資をしてもらった人に対する返済義務はありませんが、株式を持つことになるため、株主として議決権を行使することになります。
では、会社に対して出資した額の返済を迫ることができないにも関わらず、なぜ出資をしてくれるのでしょうか?
ベンチャーキャピタルや投資家は、持っている株式を第三者に売却することによって、出資した金額以上のリターンを得ることを期待しています。
従って、将来的には投資家が持っている株式を第三者に自由に売却できるような体制にする必要があるでしょう。
そう、ベンチャーキャピタルや個人の投資家から出資を受けるためには、将来的に上場を目指すことが求められるのです。
押さえておきたいポイント
上場するためには、「形式基準」と「実質基準」という2つの審査基準のクリアが必要
簡単に上場といっても、そんなに簡単にできるものではありません。
ちなみに、2016年5月末時点での上場企業数は3519社。
国税庁「会社標本調査結果」の平成26年度分によると、法人数は261万6,485社とのことなので、その割合はたった0.13%しかないという狭き門なのです。
さて、上場するためには、上場審査と言うものを受けなければなりません。
詳しい審査基準などの解説は他の専門書籍に委ねますが、上場会社として適当な会社規模や利益水準、株主数などが求められる「形式基準」と、内部統制組織が整備されているか、コーポレートガバナンスが有効に機能しているかなどの上場会社としての適格性を審査される「実質基準」という2つをクリアしなければなりません。
なかなかハードルの高いものですが、これを「一生かけて目指します!」というのでは、ずいぶん先の話になってしまい、投資家にとっては魅力的ではありません。
ですので、5~7年以内に上場基準をクリアできるという事業計画が必要となるでしょう。
押さえておきたいポイント2
個人投資家の「エンジェル税制」を活用しよう!
残念ながら、いくら素晴らしい事業計画を作ったとしても、何の実績もない立ち上げ時に出資を受けるのは一筋縄ではいきません。
ましてや、会社組織となっているベンチャーキャピタルからの出資を受けるのは期待し難いでしょう。
しかし、個人投資家の方には、創業期の出資に寛容な方もいらっしゃいます。
なぜなら、個人投資家(エンジェル)には、「エンジェル税制」という課税の特例制度が設けられているからです。
「エンジェル税制」とは、ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。
ベンチャー企業に対して、個人投資家が投資を行った場合、投資した時点と、売却した時点のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けることができます。
【投資した時点での優遇措置】
下記の優遇措置AまたはBから選択できます。
-優遇措置A(設立3年未満の企業が対象)
(対象企業への投資額-2,000円)をその年の総所得金額から控除
*控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低い方
-優遇措置B(設立10年未満の企業が対象)
対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
*控除対象となる投資額の上限なし
【売却した時点での優遇措置】
対象企業の株式売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と相殺できます。
またその年に相殺しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と相殺できます。
*このエンジェル税制の優遇措置を受けるためには、ベンチャー企業側と個人投資家のそれぞれに満たすべき要件があり、それについては、下記のサイトからご確認下さい。
エンジェル税制の詳細はこちら
出資をしてもらうことを検討されている方は、このエンジェル税制の活用についても、ぜひ検討してみて下さい。
もちろん、私どもでもエンジェル税制の活用については、しっかりとアドバイスさせて頂きます。
初回無料相談ですので、尼崎、西宮、伊丹、宝塚、大阪市西淀川区などの阪神間の起業家の方は、お気軽にご相談下さいませ。
起業成功のノウハウが詰まった拙著『起業するならもっと数字で考えなきゃ!』、よろしければ読んで下さいませ。